外国人労働者と「やさしい日本語で」円滑なコミュニケーションをとる方法

外国人労働者の採用を考える時、採用担当者様が最も心配されるのが「コミュニケーションがうまくとれるのか」でしょう。

 

できることなら、日本語が流暢な外国人を採用したいところですが、難しいのが現実です。また、いきなり日本人社員の英語力を引き上げるのも困難ですよね。

 

・外国人労働者の日本語レベルがあまり高くない

・社内に英語に長けた日本人社員がいない

 

このような状況だと、「社員同士でうまくコミュニケーションが取れるのだろうか」「業務指導が困難なのではないか」といった不安があると思います。

 

そこで、今回のコラムでは上記のようなご心配を抱える採用担当者様に、「やさしい日本語」を用いたコミュニケーション方法をご紹介します。

 

「やさしい日本語」を用いれば、採用する外国人労働者に高い日本語レベルを求める必要はありません。また、社内公用語を英語にするなど、日本人社員に英語力UPを求める必要もなくなります。

 

外国人労働者採用へのハードルが大きく下がりますので、ぜひ、今後の新規採用にお役立てください。

 

「やさしい日本語」とは?

「やさしい日本語」とは、普段使われている言葉を外国人にも分かるように配慮した「簡単な日本語」のことです。

 

「やさしい日本語」は、1995年の阪神・淡路大震災以降、外国人に対して迅速に災害などの情報伝達を行う手段として考案され、その後、新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(2011年)を経て全国に広まりました。2000年代に入ってからは、平時での外国人住民と日本人住民の交流を促進する手段としても、様々な場で用いられています。

 

英語を取り入れるよりも、ずっと簡単そうですよね。

 

 

「やさしい日本語」の活用事例

 

フリマアプリで有名な株式会社メルカリは、この「やさしい日本語」を取り入れ、さらに「やさしい英語」をプラスし、「やさしいコミュニケーション」を生み出しました。

 

メルカリに在籍する外国人の出身国は、約50か国と幅広く、英語圏出身の方も少なくありません。そのため、メルカリ社内では「やさしい日本語」と「やさしい英語」が公用語。日本語を母語としない人と、英語を母語としない人、それぞれが歩み寄ってコミュニケーションをとっているのです。

 

「やさしいコミュニケーション」をはじめとした、多国籍人材の受け入れ体制を積極的に整えたメルカリは、多くの外国人労働者の獲得に成功。その数は社員全体の25.7%。エンジニアだけで見ると、53.8%と約半数を占めています。

 

なお、メルカリ内の言語教育専門チームは、外国人とのコミュニケーション向上を目指す自治体や他の企業に対して、「やさしい日本語」の研修も行っているそうです。

 

このように、「やさしい日本語」と「やさしい英語」は、外国人とのコミュニケーションツールとして非常に有効なのです。

 

その中でも、「やさしい日本語」は取り入れやすく、日本語を母語としない外国人労働者とのコミュニケーション力向上に役立ちます。

 

 

「やさしい日本語」を使う際の3つのポイント

ここでは、実際に「やさしい日本語」を使う際に、特に注意すべきポイントを3つお伝えします。この3つを押さえるだけでも、日本語に不慣れな外国人労働者は会話を理解しやすくなるので、ぜひ採用から取り入れてみてください。

 

・漢字の利用をできるだけ減らす

1文を短くする

・擬音語・擬態語を使わない

 

ひとつひとつ解説していきます。

 

 

漢字の使用をできるだけ減らす

 

日本語を学習する外国人にとって、最も難解なのが漢字です。そのため、「やさしい日本語」を使うときは、できるだけ漢字の使用を減らしましょう。

 

例えば、「参加費は無料です」は「参加するのにお金はいりません」といったように、簡易な表現に言い換えます。

 

中国など、漢字文化圏の外国人だと、漢字が理解を助ける場合もありますが、大多数の外国人労働者にとっては、漢字が少なければ少ないほど理解がしやすいです。より簡単に表現する方法は無いか考え、積極的に言い換えていきましょう。

 

 

1文を短くする

 

シンプルなことですが、1文を短くすることは効果的です。

 

業務指示をする際、「まず〇〇をして、次に××をして、最後に△△をしてください。」と伝えてしまうと、日本語に不慣れな外国人は、3つの作業全てを理解できない場合があります。

 

そのため、「まず〇〇をしてください。」「次に××をしてください。」と1文1文に区切り、外国人労働者の理解度を確認しましょう。文を区切ることで、作業内容が理解しやすくなると共に、不明点があった際に外国人労働者が質問をしやすくなります。

 

まとめて指示した方がスムーズに感じる作業もあるかもしれませんが、ここは相手のペースに合わせて、「やさしい日本語」でゆっくり伝えましょう。

 

 

擬音語・擬態語を使わない

 

「ぐちゃぐちゃ」「ふわふわ」といった擬音語・擬態語も、外国人には理解しにくい表現です。

 

例えば、日本人が会話でよく使う「サクッと話しますね」という表現は、意味が伝わらないため、「簡単に、短く話しますね」といった言い換えが必要になります。

 

一見、難解さを感じない話し言葉ですが、外国人労働者にとっては“やさしくない日本語”ですので、注意しましょう。

 

 

「やさしい日本語」で得られる3つのメリット

「やさしい日本語」でコミュニケーションをとると、外国人労働者だけでなく、社内の日本人社員にも良い変化が生まれます。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

 

・業務理解のスピードが上がる

・社内コミュニケーションが円滑になる

・思いやりの精神が生まれる

 

 

業務理解のスピードが上がる

 

「やさしい日本語」で業務指示をすれば、外国人労働者は業務内容を正確に理解しやすくなります。もし、難しい作業で不明点がある場合でも、1文ずつ説明されれば質問もしやすく、キャッチアップが可能です。

 

「やさしい日本語」によって、外国人労働者の理解力が上がることで、ミスの低減、やる気向上につながり、業務理解のスピードが上がるのです。

 

 

社内コミュニケーションが円滑になる

 

「やさしい日本語」は、文章の正確さよりも伝わることを重視しているので、外国人労働者も間違いを恐れずに、気楽な気持ちで会話ができるようになります。

 

日本人社員とも、複雑な話はできないものの、お互いに意味が伝われば会話が弾みます。その結果、無言のままや同国人同士で固まることが減るので、自然と社内コミュニケーションが円滑になるのです。

 

 

思いやりの精神が生まれる

 

「やさしい日本語」を話す時は、「どう表現すれば相手に伝わるだろうか?」「もっと簡単な言い方はないだろうか?」と、自然と相手の立場を思案することになります。

 

そのため、自然と思いやりの精神が生まれ、社内全体が良い空気になります。

 

ちなみに、ある地方の中小企業では、「やさしい日本語」によって若者特有の表現がなくなり、日本人社員間のジェネレーションギャップも解消されたという、思わぬメリットがあったそうです。

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

今回のコラムでは、「やさしい日本語」を用いたコミュニケーション法をお伝えしました

 

「やさしい日本語」を使えば、日本語に不慣れな外国人労働者を採用しても、スムーズな業務指導と、円滑な社内コミュニケーションが期待できます。また、社員同士に思いやりの精神が生まれ、社内全体の雰囲気も良くなるので、取り入れて損はありません。

 

コミュニケーション面で外国人労働者採用へご不安のある採用担当者様は、ぜひ参考にしてみてください。

 

なお、「やさしい日本語」については、文化庁から「やさしい日本語ガイドライン」が公表されています。詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。

 

本コラムが、貴社の外国人労働者採用促進の一助となれば幸いです。

 

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