【外国人採用】ベトナム人・中国人への教育で注意すべきポイント

外国人労働者の採用を検討するときに、欠かせないのは社内での教育です。

 

「早く独り立ちして欲しい」という気持ちで、熱心に教育をされている教育担当の方も多いでしょう。

 

しかし、日本人社員と同じ方法で教育を行なっていると、文化や国民性の違いから誤解が生じたり、予想外の揉め事に発展したりする場合があります。また、良かれと思って実施している教育法が、実は外国人労働者の意欲を削いでいる可能性すらあるのです。

 

そこで、今回のコラムでは、外国人労働者への教育法をテーマに、「ベトナム人・中国人への教育で注意すべきポイント」をご紹介いたします。

 

ベトナム・中国は、日本で働く外国人を国籍別で見た際に、2カ国を合算したシェアが46.6%と5割に迫る勢いです。

 

その内訳は、最も多いのがベトナム人で46万2,384 人(外国人労働者数全体の25.4%)。次いで中国人が38万5,848 人(同21.2%)となっています。(引用元:令和4年(2022年)10月末現在の外国人雇用状況の届出実績

 

今後もベトナム人・中国人の採用は増え、教育が必要な場面もますます増えてくるでしょう。実際、弊社での採用支援も、この2カ国に加えてネパール、ミャンマーが、非常に増えております。

 

ぜひ、今回のコラムで「ベトナム人・中国人への教育で注意すべきポイント」を押さえていただき、雇用継続にお役立てください。

 

ベトナム人への教育で注意すべきポイント

ベトナムの人口は2022年時点で9,946万人。平均年齢は31歳と若くエネルギッシュな国です。そのため、仕事を求めて海外へ進出する若いベトナム人は年々増加しています。

 

日本への関心も高く、今後も日本で働くベトナム人の増加が予想されます。この機会に、ベトナム人への教育で注意すべき3つのポイントをお伝えします。

 

 

時間への認識がややルーズ

 

日本は時間に厳格な国です。会議、納期、待ち合わせなどなど、内容に関わらず全てにおいて、基本的に時間厳守が鉄則です。始業時間に関していえば、予定より少し早めに出社することを暗黙のルールとしている企業もあるでしょう。

 

しかし、ベトナム文化では、日本ほど厳格な時間感覚が求められていません。イベントや会議が予定通りに始まらないことがあったり、待ち合わせでは少し遅れて到着したりすることも多々あります。また、重要なイベントや取引など、優先事項が高いものについてのみ時間を厳守するなど、フレキシブルな対応をする場合もあります。

 

そのため、ベトナム人への教育において「時間への認識合わせ」は非常に重要です。

 

全てにおいて遅刻は厳禁であることを伝えると共に、予定より早い到着が好ましい場合については、事前にその旨を明確に伝えておきましょう。

 

 

自立性を尊重した指導

 

日本企業では、新人社員は先輩の指示通りに仕事をするのが一般的です。この方法には、仕事の流れを早く理解できることと、先輩が進捗を確認しやすい、といったメリットがあります。

 

しかし、ベトナム人は自立性が高く創造的なアプローチを好むため、「先輩の指示通りに」といった指導法に窮屈さを感じる可能性があります。

 

良かれと思ってマンツーマンで口うるさく指導をすることにより、ベトナム人労働者の意欲を削いでしまうのはもったいない話です。

 

そのため、ベトナム人労働者を教育する際には自主性を尊重し、ある程度の柔軟性を持って指導するのが良いでしょう。

 

本人のやりたい方法でやらせてみて、上手くいかない場合は一緒に原因を探り、より良い方法を考えるなど、実践的な経験を通じて学ぶ機会を提供することが、ベトナム文化における教育の効果的なアプローチとなります。

 

 

チームへの貢献を賞賛する

 

日本では、仕事で成果を出した人を公の場で個人的に賞賛することがあります。

しかし、ベトナム人を褒める場合には、個人よりもチームや集団の協力を強調して褒める方が良いでしょう。

 

なぜなら、ベトナム文化では謙虚さが美徳とされ、他者への謙虚な態度が尊重されるからです。控えめで謙虚な態度は他者との調和を保ち、良好な人間関係を築く手段とされているのです。

 

ベトナム文化は集団志向が強いので、上記のような賞賛をすればグループの一員としての認識が強まり、より意欲的に業務に邁進してくれるようになるでしょう。

 

「自信をつけて、早く成長して欲しい。」といった理由で、少し大げさに褒めたくなる気持ちもわかりますが、個人に対する過度な褒め言葉は、ベトナム人労働者に照れや緊張を生むことがあります。

 

そのため、ベトナム人労働者を褒める時には個人を賞賛しつつも、チームで助け合えたことや、困難な状況にも協力して立ち向かったことを強調して褒めるのが有効です

 

 

 

中国人への教育で注意すべきポイント

中国の人口は2021年時点で約14億人。今年インドが1位になるまで、長らく世界最大の人口を維持してきました。出生率の低下や高齢化問題があるものの、平均年齢は38歳とまだまだ若く、労働熱心な国民が多い国です。

 

また、中国は日本における国籍別外国人労働者数でも、2019年まで第1位でした。そのため、すでに中国人の国民性や文化を理解している企業様も多いとは思いますが、ここで今一度、中国人への教育で注意すべきポイントを3つ確認しておきましょう。

 

 

公の場で注意・叱責をしない

 

外国人労働者を教育していく際、時に注意や叱責が必要な場合もあると思いますが、その際、公の場で個人を注意・叱責するのはNG行為です。

 

特に中国は面子(メンツ)を重んじる文化のため、公の場での注意・叱責は非常に失礼な行為にあたります。

 

個々のミスや問題に対して公然と叱責してしまうと、面子を失った中国人労働者の労働意欲は下がり、教育担当者への不信感から早期退職につながる可能性もあるのです。

 

注意・叱責が必要な場合は、プライバシーが守られた空間で本人にのみ伝えましょう。その際、決して感情的にならず、注意をした理由と今後の改善策まで具体的に伝えることがポイントです。国民性による誤解もあるかもしれませんので、本人の言い分にも耳を傾ける姿勢も忘れずに。

 

可能であれば、その後のフィードバックまであるとより良いでしょう。中国人労働者は「この教育担当者は自分を育てようと真剣に考えてくれている。」と感じるので、教育が深く浸透します。

 

 

日本独特の曖昧な指示を避ける

 

中国は直接的で明確な表現をする文化です。そのため、日本独特の曖昧な表現での教育は、中国人労働者にとって大きなストレスになります。

 

・まぁまぁ

・ダメと言うわけではないが

・やっておいた方が良いかもしれない

 

このように、学習者側が判断に迷うような曖昧な表現は避け、YES/NO、良い/悪いなど、明確な言葉遣いをしましょう。

 

また、中国文化はジェスチャーや表情などの非言語コミュニケーションも重要視しています。

 

日本人はあまり身振り手振りの動きがなく、表情も平たんなため、中国人労働者はコミュニケーションを取りにくい印象を持つかもしれません。

 

中国人労働者を教育する際には、明確な言葉遣いと合わせて、通常より少し大げさなジェスチャーや表情を心がけることも重要です。

 

 

教育担当者の年齢と立場

 

日本の教育担当者が、中国人労働者よりも年下の場合は注意が必要になります。

 

中国文化では年長者への尊敬が強いため、年下の日本人教育担当者からフランクな対応をされると不快な思いをする可能性があるのです。

 

一方で、中国には上司やリーダーへの敬意を重要視する文化もあるので、教育担当者が年下の場合は、社内における立場を事前にしっかり説明しておくと良いでしょう。

 

例えば、

・外国人労働者の教育を長く任されており、指導には定評があること

・社長からも指導力に太鼓判を押されていること

 

などを事前に伝えておけば、仮に教育担当者が年下であっても尊敬の念が生まれるため、スムーズな教育が可能になります。

 

なお、年長者を採用するときは、リーダーや同僚が年下になることをあらかじめ伝えておく配慮があると喜ばれるでしょう。

 

その上で、中国人労働者が年上の場合は、相手の経験を尊重し、丁寧な指導を心がけましょう。

 

特に「注意」をする場合は慎重な言葉選びが必要になります。「褒める」場合も、むやみに褒め言葉を並べるのではなく、強みや成功に焦点を当てて受け入れやすい形で伝えることがポイントです。

 

 

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。

 

今回は、日本で働く外国人労働者のおよそ半数を占めるベトナム人・中国人への教育で注意すべきポイントをご紹介しました。

 

個々人で性格の差があるため、全てのベトナム人・中国人には当てはまらないかもしれません。しかし、事前にある程度注意ポイントを理解しておくことが、採用や長く働いてもらうためには重要です。

 

自国の文化や国民性が尊重された教育法であれば、採用されたベトナム人・中国人もより積極的に仕事に取り組んでくれるでしょう。

 

今回のコラムが、貴社の社内教育のお役に立てれば幸いです。

 

 

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