JLPTとは「Japanese Language Proficiency Test」の略で、日本語が母国語でない外国人向けの日本語能力検定試験です。外国人を採用選考する企業が、JLPTの所持レベルを応募条件として設定していることが多いです。
検定のレベルと認定の目安は以下のように定められています。
JLPT(日本語能力試験)
レベル 認定目安 N1 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる。 N2 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度、理解することができる。 N3 日常的な場面で使われる日本語をある程度、理解することができる。 N4 基本的な日本語を理解することができる。 N5 基本的な日本語をある程度、理解することができる。 N1~N5:認定の目安 | 日本語能力試験 JLPT
https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html
企業が定める募集の基準
以下は、各レベルの仕事内容の例です。
募集基準を「N1」に設定する仕事内容の例
・オフィスワーク、事務
・日本語の契約書を扱う業務
・高額商品を販売する業務
・ホテルのフロント、高級料理店のホールスタッフ
ビジネスレベルでの日本語のやり取りが必要な業務は、募集基準を「N1」と設定する場合が多いです。
募集基準を「N2」「N3」に設定する仕事内容の例
・低価格商品を販売する業務
・飲食店のホールスタッフ
・日本人上司の指示や確認が時々必要な業務
・メインはインバウンド対応だけど、日本人への簡単な接客が必要な店舗
日本語での臨機応変な対応がそれほど必要でない業務、時々日本語でのコミュニケーションが必要な業務は「N2以上」「N3以上」と設定する場合が多いです。
募集基準を「N4」「N5」に設定する仕事内容の例
・ライン作業、単純作業
・ほぼ日本語が必要ない業務
・外国語で指示をくれる上司がいる業務
・日本語での簡単な指示が理解できれば作業ができる業務
工場の製造ラインの業務や、外国語でのマニュアルが完備されている業務は、「N4でもOK」「N5でもOK」と設定する場合が多いです。
業務内容が簡単であったとしても、日本語の指示が適切に理解できないと事故の危険性がある業務(一部の製造業や建設現場での仕事)に関しては、日本語レベルを比較的高めに設定する傾向があります。
JLPTと実際の日本語能力
外国人採用を実施する場合、履歴書に書かれたJLPT(日本語能力試験)の取得レベルを確認することによって、大体の日本語能力が予測できます。けれども、やはり実際の日本語能力は検定試験だけではわかりません。
ミスマッチを減らすと同時に、優秀な人材の獲得チャンスを逃さないようにするには、電話して確認してみることをお勧めします。会話の時間は1分以下でも大丈夫です。
「学校ではどんなことを勉強していますか?」「これまでどんなアルバイトをしたことがありますか?」等、「Yes/No」で返答できない設問を事前に設定して、会話してみましょう。
N1でも予想より日本語が流暢でない場合もありますし、N3でもとても滑らかに日本語を話す方もいます。
出身国によって取得のしやすさが違う
JLPT(日本語能力試験)は、上位ランクの試験になると「漢字」が多数登場します。中国や台湾の方などの漢字圏の方にはやや有利です。
例えば、日本語で「理由」は中国語で「原因」。中国語を話す方なら、読解問題では、正しく日本語の漢字を理解していなくても、なんとなく予想しつつ正解を獲得できたりします。
一方、ミャンマー語は、このような文字を用いて文章を作ります。
非漢字圏の方は、日本語の学習は全くのゼロからスタートし、言葉の意味を1つずつ丁寧に理解していく必要があります。上位ランクを取得するには、かなりの学習時間が必要です。
個人的な感覚では、非漢字圏の方の「N2」は、漢字圏の方の「N1(取得したて)」程度の会話能力があるように思います。
外国人採用時、JLPT(日本語能力試験)は参考程度に
JLPTを応募条件の一つとして設定する事は効率的な採用活動を行う上で非常に大切な事です。けれども、JLPTの試験結果を絶対的な採用基準にすると、「採用したが予想以上に日本語ができなかった」「実はしっかり日本語も話せて優秀で意欲的な人材を書類選考で不採用にしてしまった」といった事が起こり得ます。
ぜひ、少しの時間でも良いので、応募してきてくれた外国人との会話の時間を作り、日本語能力を確認してみてください。履歴書を見て「この人は日本語がどれくらいできるのかな?」と考える時間を電話する時間に置き換えることによって、十分な確認が可能です。そうすればきっと、より適切なマッチングが行われ、素晴らしい出会いが増えるはずです!