近年、外国人労働者の採用市場は活発化しています。
2022年(令和4年)10月末現在の外国人雇用についての届出実績によると、外国人就労者は182万2,725人と、届出が義務化された2007年(平成19年)以降、過去最高を更新。また、外国人を雇用する事業所数も29万8,790 所と、こちらも届出義務化以降、過去最高を更新しました。
現状の日本の労働力不足を考えると、これからも外国人労働者の採用はますます増えていくでしょう。
しかし、「採用したものの、うまく教育ができない。」「もっと採用したいけれど、教育担当人員も予算も足りない。」といった「教育」に対する企業様のお悩みの声も多く聞こえています。
そこで、今回のコラムでは「外国人労働者への教育法」をテーマに、実際の企業様で行なわれている3つの教育法をご紹介します。
・メンター制度の導入
・LINEグループの作成
・交換日記の活用
どれも人員もコストも抑えた、中小企業でもすぐに取り入れられる効果的な教育法です。
せっかく外国人労働者を採用できたのに、教育ができず、なかなか仕事を任せられないのは困りますよね。最悪の場合、仕事ができずに自信をなくしてしまい、早期退職につながる可能性もあります。
また、採用する予算はあるのに、教育リソース不足という社内問題で積極的に採用を進められないのももったいない話です。
外国人労働者の教育にお困りの企業様、採用を躊躇されている企業様は、ぜひ参考にしてください。
教育方法① メンター制度の導入
最初にご紹介する方法は「メンター制度の導入」です。
メンター制度は、日本人の新入社員向けの教育方法と思われがちですが、外国人労働者にとっても多くのメリットがある方法です。
その中でも、一番大きなメリットは「安心して早く仕事を覚えられること」でしょう。
通常、外国人労働者は社内の先輩社員に教わりながら徐々に仕事を覚えていきますが、最初は慣れない環境での勤務に不安を感じています。
これは、日本人の新入社員でも同じですよね。
それに加えて、外国人労働者には言語の不自由さや文化の違いも加わるわけですから、大きなストレスを抱えながら勤務をすることになります。
人によっては、ストレスから本来のパフォーマンスを発揮できない方もいるでしょう。
そこで、メンターを設けるのです。
専属の先輩社員を1名決めておき、何か困った時には相談できるようにしておきます。
そうすると、複数の社員から微妙に異なる指導をされて混乱した場合や、不明点を聞けずじまいになった時などに、気兼ねなく相談ができます。
また、メンター自身も、その外国人の成長度合いや性格、文化背景などを徐々に理解できるようになるので、相手を尊重した的確なアドバイスが可能になるのです。
外国人労働者にとって、異国で自分を理解してくれる味方がいることはとても心強いことです。
精神が安定すれば業務に集中できるので、仕事を覚えるスピードも上がり、早期の独り立ちが可能になります。
同時に、メンターとの会話で必然的に日本語を話す練習ができるので、語学力の向上にもつながります。
教育方法② LINEグループの作成
社内の教育用LINEグループを作り、外国人労働者を参加させることも非常に有効な教育方法です。
日本語が得意でない外国人だと、口頭で説明をしても専門用語がわからなかったり、勘違いをしてしまったりすることが多々発生します。
そこで、口頭での説明に加え、LINEグループを活用するのです。
LINEグループでは、「明日の会議の時間が変更になる」といった業務連絡から、その日に行った業務での重要な点などを、教育担当者が伝えます。
そうすることで、教わったその場ではよく理解できなかった外国人も、落ち着いた時間に文字や画像、動画で復習して理解が追い付くようになるのです。不明点があっても、LINEであれば、すぐにリーダーに質問しやすいでしょう。
その際、可能であれば、その外国人労働者と同国出身で、日本語に慣れている方をLINEリーダーにしておきましょう。同じ国の者同士であれば質問もしやすいため、よりスムーズな教育ができます。
このように、LINEを日々の業務の補助ツールとして活用するのは非常に効果的な方法です。日本語を読む・打つといった作業によって読解力も向上するので、一石二鳥の方法といえるでしょう。
なお、ビジネス版のLINE WORKSであれば、メッセージの自動翻訳機能がついています。日本語の読み書きが苦手な外国人労働者が多い場合は、このような翻訳機能を使って手厚くフォローをしていくのも一つの手です。日本人が教育者の場合も、言いたいことを正しく伝えられるので、スムーズな教育が可能になります。
教育方法③ 交換日記の活用
ユニークな教育方法として、交換日記が挙げられます。もちろん、毎日書かなくてもOKです。
交換日記の良さは、少し肩の力を抜いて、自由な記載が出来る点にあります。
そのため、外国人労働者は、交換日記に業務の悩みだけでなく、日々不安に思っていることや悩み事などを書くこともできるのです。その中には、社内ルールや日本の慣習に対する疑問などもあるかもしれません。
実際に、交換日記を取り入れた企業で働く外国人労働者からは「仕事以外のことでも、素直に自分の気持ちを伝えることができて安心した。」といった声が挙がっています。
日々、業務を覚えることに精一杯な外国人労働者は、日本人社員と雑談をしたり、相談をしたりする余裕がなかなかありません。交換日記は、そんな外国人労働者にとって絶好の機会なのです。
このように、交換日記を活用すると、後回しになりがちなメンタルケアまで早急に行うことができるので、外国人労働者は安心して業務に取り組めます。
また、交換日記は複数名でできるので、教育担当者以外でもその外国人労働者の現状について知ることができます。外国人労働者に関心を持つ社員が増えることで、業務以外で行き詰っていることにもアドバイスをしてくれる機会が格段に増えるでしょう。
自分に関心を持ってくれる人が社内に大勢いるということは、外国人労働者にとって大きなモチベーションになります。このモチベーションによって、外国人労働者はより早く成長できるのです。
なお、言わずもがなですが、交換日記を続けることで日本語の読み書きの上達も十分に期待できます。特に漢字の習得には効果的でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
・メンター制度の導入
・LINEグループの作成
・交換日記の活用
今回は、今すぐ始められる「外国人教育法3選」をご紹介いたしました。
「外国人労働者への教育」と聞くと、専門職員による講習やeラーニングの導入などを思い浮かべる方も多いと思いますが、人員やコストをあまりかけずに気軽に始められる教育法はたくさん存在しています。
今回ご紹介した方法であれば、業務教育だけでなく、日本語や社内ルール、日本文化を含めた総合的な教育も可能です。ぜひ、貴社に合った教育方法をお試しいただければと思います。
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