新規採用した外国人労働者が職場に定着し、長く働いてもらうためには、「この会社なら安心だ。」「ここでなら頑張れる。」と感じてもらうことが必須です。
そのためには、待遇面や教育体制、スキルアップ支援など、企業側が様々なことを準備する必要がありますが、その中でも、「外国人労働者の生活サポート」は非常に重要です。
どんなに社内体制が整った企業であっても、外国人労働者の生活が不安定だと、業務に集中できなかったり、メンタル不安に陥ったりします。最悪の結果、早期退職になってしまう可能性があるからです。
つまり、外国人労働者に”長期就業”してもらうには、社内体制だけでなく、生活環境まで整える必要があるのです。
しかし、「実際、どのような生活サポートをすれば良いのかわからない。」と、頭を悩ませている企業様も多いのではないでしょうか。
そこで、今回のコラムでは、「外国人労働者が必要としている生活サポート」をご紹介します。入社前後に必要になる重要なサポートから、生活に沿った細やかなサポートまで網羅。実際に外国人労働者から「助かった」との声が多かったものをピックアップしました。
また、コラム後半では外国人労働者の生活サポートをすることで得られる“意外なメリット”もお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、今後の採用・雇用継続にお役立てください。
入社前後に必要な生活サポート
ここでは、主に入社前後で必要になるサポートを3つご紹介します。
入社前後は、外国人労働者の不安が最も高まっている時期です。このタイミングできちんとサポートができれば、安心感が高まると共に、企業への印象も大幅にUPします。採用面談の時点でサポート内容をしっかり伝えることも効果的です。
ぜひ、サポート漏れが無いかチェックしてみてください。
住宅探し
日本語ができない、保証人がいないという点で、外国人労働者にとって住宅探しは非常に困難です。特に、入社に伴い初めて来日する方は地理も全く分かりません。会社に借り上げ住宅や寮が無い場合、住まい探しのサポートは必須です。その際、インフラ契約(水道・ガス・電気)までサポートがあると、外国人労働者も安心です。
ある企業では、住まい探しのサポートに加えて、通勤定期購入の付き添いや、通勤に必要な自転車の貸し出し、家具家電のレンタル・購入サポートなど、細やかなサポートをおこなっている例もあります。
なお、住まいが決まったら、ゴミ出しルールの事前説明も忘れずに。ルールを知らないまま生活してしまうと、地域の方から注意を受け、暮らしにくくなる可能性があります。説明の際は、ゴミの分別方法がすぐわかるよう、イラスト付きの資料を渡すのが良いでしょう。Google翻訳を使えば簡単なので、外国人労働者の母国語で補足説明文があると、より親切です。
ネット環境の整備
住まいが決まったら、ネット環境も企業側で整備することが望ましいです。異国の地に来た外国人労働者にとって、心の支えになるのは母国の家族や友人です。特に、近年日本での就業が増えているベトナム人やネパール人、ミャンマー人は家族とのつながりを非常に大切にしています。
家族や友人と不自由なく連絡が取れれば、仕事へのモチベーションやメンタル安定にもつながります。借り上げ住宅や寮がある場合はFREE Wi-Fiの完備を。インターネット完備の物件を選んだり、インターネット契約までサポートしたりすると良いでしょう。
各種手続き・役所への同行
日本に住んで働くとなると、銀行口座開設や携帯の契約など諸々の手続きが必要になります。手続きは専門用語も多く、日本語が不慣れな外国人にとってはハードルが高いため、企業側でサポートが必要です。特に、役所での手続きは複雑なので必ず同行をしましょう。
その際、外国人労働者の母国語で通訳が出来る人を手配しておくことをおすすめします。重要な内容を間違いなく伝えられるので、外国人労働者も企業側も安心です。
実生活で必要な生活サポート
ここでは、前項よりももう少し生活に寄り添うサポートを3つご紹介します。中小企業や地方の企業ならではのアットホームなサポートもあるので、ぜひ参考にしてください。
病院への付き添い
多くの外国人労働者から「助かった」と声が挙がっているのが病院への付き添いです。まだ土地に慣れていない外国人だと、どの病院へ行けば良いかわかりません。また、日本語が不慣れな外国人だと医者からの説明も理解が難しいでしょう。そのため、病院へ行く際には付き添いサポートがあると非常に安心です。ある企業では、日本人社員が付き添うだけでなく、車で送迎するという細やかなサポートをしています。
買い物への同行
外国人労働者にとって、慣れない土地での買い物はひと苦労です。地域によっては、スーパーマーケットは徒歩圏にあるものの、ホームセンターや衣料品店が近くに無い場合もあるでしょう。ある地方の中小企業では週末に車を出し、集団で遠方まで買い出しに連れて行く“買い物ツアー”をおこなっています。都心部での買い物同行は不要かもしれませんが、必要かどうか聞いてあげると喜ばれるでしょう。
地域社会との関わりの場を設ける
外国人労働者が安心して暮らすためには、地域の人との関わりも大切です。特に外国人が少ない地方では、地域のマラソン大会やボランティアに参加したり、外国人労働者主催の文化交流会(郷土料理をふるまうなど)を開いたりして、地域の人たちと外国人労働者の接点を増やしている企業もあります。
地域に馴染めると、会社以外の場所でも声をかけてくれる人が増えるので生活がしやすくなり、仕事にも集中できるようになります。また、自分が会社だけでなく、日本社会にも受け入れられていると実感できるので、腰を据えて業務に取り組んでくれるようになるでしょう。
生活サポートをすることで得られる意外なメリットとは?
外国人労働者の生活サポートをすることで得られる一番のメリットは「外国人労働者の長期就業」です。企業が生活環境を整えてくれることで、外国人労働者は安心して業務に打ち込めます。安定した生活に加え、業務を通してスキルアップできるとなれば、自然とその企業で長期就業をすることになるでしょう。
しかし、生活サポートで得られるメリットはそれだけではありません。実は、意外にも「継続的な人材の確保」にも繋がるのです。
なぜなら、サポートの手厚さが口コミで広がるからです。 私の近所のコンビニでも、最初は1人だった外国人の店員さんが、今では3人に増えて楽しそうに働いています。
外国人労働者同士のネットワークは強く、良い条件の企業情報はすぐに共有されます。口コミが広がればエントリーする外国人労働者が増えるので、急な欠員や事業規模拡大に伴う増員の際に、タイミングよく外国人労働者を採用することができるのです。
既に、新聞やWebメディアでご存知の方もいらっしゃると思いますが、株式会社マネーフォワードの外国人採用の成功事例が話題になりました。
金融WEBサービスを提供している株式会社マネーフォワードは、生活サポートの手厚さが口コミで評判となり、大規模な外国人エンジニアの採用に成功しています。2023年現在、本社オフィスで働く100人超のエンジニアは、4人に1人が外国人で20以上の国・地域出身者だそうです。
これは中小企業や地方の企業にも有益な話です。通常、都心部の大企業でない限りHPだけで外国人労働者を継続的に集めるのは困難です。しかし、口コミで評判が広がれば興味を持ってエントリーする外国人労働者が増えます。そうすれば、「人手が足りないので誰でも良いから来た人を雇う」のではなく、「多くの応募者の中から優秀な人を選ぶ」ことも可能になります。
このように、外国人労働者の生活をサポートすることで、新たな人材確保に繋がるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のコラムでは、「外国人労働者が必要としている生活サポート」を具体的にお伝えしました。
外国人労働者の生活をどこまでサポートできるかは、企業様の状況によって様々だと思います。しかし、しっかり生活をサポートすることで「長期就業」に加え、「人材確保」まで叶うのですから、力を入れて損はないでしょう。今後のスムーズな採用のためにも、ぜひ貴社のサポート内容をチェックしてみてください。
今回のコラムが、貴社の外国人採用・雇用継続のお役に立てれば幸いです。
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