日立が「ジョブ型」雇用へ転換。ジョブ型雇用のメリット・デメリットは

日立、ジョブ型雇用を採用

日立が、欧米で一般的な雇用形態「ジョブ型雇用」を導入すると報道がありました。新型コロナウイルスの影響による在宅勤務が雇用形態を転換する後押しになったようです。

ニュースの紹介と解説の動画はこちら。

在宅が後押し 日立「ジョブ型」雇用へ転換

日立がジョブ型雇用の本格採用に踏み切る。成果主義と親和性が高いジョブ型は欧米などに広く浸透する世界標準だ。グローバルの人材獲得競争に有利に働き、生産性の改善への期待も高まる。

近年、日立は米中企業などと先端人材の争奪戦を繰り広げるが、海外人材には不透明に見えるメンバーシップ型は足かせとなる。皮肉なことに岩盤を突き崩したのは、コロナだった。在宅勤務ではプロセスへの貢献が見えなくなりチームプレーも難しくなった。従業員の成果を評価する仕組みが必要になり、メンバーシップ型では限界があった。

日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO59589090W0A520C2TJ1000/

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用とは

ジョブ型雇用とは

仕事内容、目標、範囲などの職務を明確にして雇用する形式で、欧米では一般的なスタイルです。

ジョブ型雇用では、仕事内容、目的、目標、責任、権限、必要な知識、スキル、経験、資格、学歴等、仕事に関する具体的な情報と採用条件を明確に定め、それらの全ての情報をジョブディスクリプション(職務記述書)と呼ばれる書類にまとめます。

メンバーシップ型雇用とは

一方の日本で一般的なスタイルは「メンバーシップ型雇用」と言われており、新卒一括採用型をメインとして、総合的な役割を担う人物を採用・育成します。助け合う風土や一体感を作り、日本の高度経済成長を支えました。しかし近年は、終身雇用型を前提とした雇用形態が現在とは合わないという批判を生んでいます。また、グローバル人材の採用ではジョブ型雇用に慣れた優秀な人材を呼び込めないという点も問題として良く挙げられます。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

それぞれの雇用形態の特徴、メリットとデメリットをまとめました。

比較 ジョブ型 メンバーシップ型
仕事内容 細かく設定 限定しない
役割 限定的 総合的
採用方式 中途が中心 新卒が中心
報酬 スキルによる 年齢・社歴を考慮
キャリア
設計
自分で設計 会社が設計
教育 原則なし あり
解雇 あり 原則なし

記載しているのは、あくまで一般的な特徴です。ジョブ型雇用でも、教育に力を入れている会社もありますし、簡単に解雇しない方針を打ち出している企業もあります。

ジョブ型雇用

メリット

・ゴールが明確、生産性を高めやすい。
・長時間労働に繋がりにくい。

デメリット

・成果主義的になり、雇用は不安定になりやすい。
・自分でキャリア設計が必要。

メンバーシップ型雇用

メリット

・チームワークや一体感が生まれやすい。
・会社内で様々なチャレンジができる。(ジョブローテーション)

デメリット

・仕事内容が曖昧で、長時間労働になりやすい。
・努力の成果が直接的に報酬へ反映されにくい。

それぞれ良い面がありますので、一概にどちらが良いとは言えません。チームワークや一体感、安心感が会社の強みとなっている場合は、メンバーシップ型雇用でないと強みを活かしきれません。世界中から優秀な人材を集め、分業体制で事業を進める場合にはジョブ型が適しています。

日立がジョブ型本格導入を宣言し、後に続く国内企業も多数現れる可能性も十分にあります。(経団連はジョブ型雇用を推進しています)

解雇規制の緩和もあり得る

欧米でのジョブ型雇用では、企業が能力不足と判断した場合、解雇されることも珍しくありません。会社の方針が変わり、その職種が不必要になった場合も解雇になります。

ジョブ型雇用が国内で浸透するには、解雇に関する規制緩和が必要になってきます。

また、政府は働き方改革の実現のため、ジョブ型雇用を推進の立場です。同時に、人材の流動性を高め、転職・中途採用の増加を推進しています。(2021年には大企業の中途採用割合の公表が義務化されます。)

経済格差拡大の懸念から、ジョブ型雇用や解雇規制の緩和には当然ながら根強い反対があります。けれども、ジョブ型雇用が一般的となり、解雇条件がある程度緩和する時代が近々訪れるかもしれません。準備は必要です。

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